Ⅱ ワークショップ

④日常心理臨床における「物語的夢対話」と「明晰夢」

斎藤清二(立命館大学)

9月24日(日)   10:00~16:00

心理臨床の活動領域は近年大きく広がっており、様々な生活の現場の文脈に応じた柔軟な実践が必要とされています。日常的に私達が行っている臨床活動、例えば学生相談や、学校保健室での生徒との対話、あるいは病院の一般外来や病棟やデイサービスでの会話などで、クライエントの見た夢が話題に取り上げられることは決して珍しいことではありません。心理療法において夢を扱うことについて、従来は「夢分析」という言葉が用いられ、厳密な治療的枠組の中で資格をもった分析家でなければ行ってはならないかのように理解されてきました。しかし、夢とは、多くの人間にとって普遍的でありふれた睡眠中の経験であり、夢を話題として語り、聴き、共有する営みは人間にとって基本的な行為のひとつです。ユング自身が「夢を解釈する人に対して、あまり急いで解釈しないように、大きな声でこう呼びかけてやりたいくらいなのです。『とにかく理解しようとはしないように』」と述べているように、夢を、専門家によって「解釈」され「分析」されるべきものと考えるのではなく、対話の中で共有されるクライエントの「語り」のひとつと考えることで、日常の心理臨床的支援の中で夢を活かす機会はおおいに拡大すると思われます。このワークショップでは、従来の「夢分析」という枠組に縛られることなく、物語的対話の中で夢を扱って行く方法論(物語的夢対話(Narrative Dream Dialog))とその実際について、筆者の経験した事例を提示しながら、一緒に考えていきたいと思います。また、近年の若者が多く体験していると思われる、「夢の中で自覚的な意識を保ったまま行動できる夢」としての「明晰夢(Lucid Dreaming)」の話題にも触れたいと思います。